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七五三のいわれ

年を重ねて、大人になっていく我が子への思いは、今も昔も変わりません。
万葉の歌人、山上 憶良の歌『銀(しろがね)も金(くがね)も玉も何せむに勝れる宝子に及(し)かめやも』。万葉集の成立は、今から1300年前。子を思う親の気持ちには、現代を生きる私たちも共感を覚えます。通過儀礼のもっとも代表的なものが七五三でしょう。そのいわれを少し。

三歳は、「髪置(かみおき)の儀」。
古来、数え三歳まで髪を短くしているとその後美しい髪に恵まれると信じられていました。三歳になって髪を伸ばし始めることを祝うのが三つのお祝いです。

五歳は、「袴着(はかまぎ)の儀」。
数え五歳から袴の着用が許されます。このことを祝うのが五つのお祝いです。

最後に七歳は、「紐解(ひもとき)の儀」。
それまで紐のついた子供のきものを着ていたのを、紐を取り大人と同じ形のきものを着ることを祝うのが、七つのお祝いです。ですから、七歳のお衣装は「腰揚げ(縫揚げ)」をせず、大人と同じように腰ひもで揚げをとり着装します。時々、「腰揚げがしていない」「紐が着いていない」と慌てるお母さまがいらっしゃいますが、それが七つのお祝いの意味ですので、どうぞご理解くださいませ。

お話ししましたように七歳は「腰揚げ」はしませんが、「肩揚げ」は三歳祝着と同様にいたします。肩揚げは、「私はまだ子供ですので、どうぞ守ってくださいね」というサイン。舞妓さんは二十歳になっていても肩揚げまします。舞妓を卒業し、芸妓になると肩揚げも卒業するのもこれと同じ意味です。

数え年の七歳、五歳、三歳はそれぞれ、厄年でもあります。
寺社仏閣に参拝し厄除けを受けることも、大切におこなわれてきた儀式です。そのときの衣装は、その後も大切にされ、その子供の行く末を見守る『お守り』になると考えられてきました。

実際、一年の終わり、大祓を受けることのできない天皇は、自分の衣だけを定められた寺社に送り、ご祈祷を受けています。衣装は、自分自身の身代わりという考え方が、古来から日本にあったのです。
お衣装はレンタルが増えてしまった七五三ですが、半衿一枚でもけっこうですのでお求めいただき、お子様のお守りにされてはいかがでしょうか。

さて、それでは七五三のお参りの日がなぜ11月15日になったのでしょうか?
これには諸説あります。江戸幕府・三代将軍徳川家光の袴着の儀の行われた日にちに由来しているという説、また五代将軍綱吉の袴着としている書物もあります。

どうやら江戸時代の初めごろから七五三は11月15日に定着したようですね。当時は、もちろん旧暦(太陰太陽暦)。十五日は、誰にでもわかりやすい満月の晩ですから、祭礼には最適の日でもあります。現在の太陽暦の暦では、約一ヶ月後の12月中旬ごろにあたります。いまよりもっと寒さが厳しくなっている頃。厳しい寒さに負けないようにとの意味合いもあったのかもしれませんね。

ついつい忙しくて11月15日までに七五三のお参りを済ませられない方は、古式にのっとり旧暦の十一月十五日にいかがですか。ちなみにこれからの旧七五三の日にちは・・・

2021年12月18日(土)
2022年12月 8日(木)
2023年12月27日(水)旧暦の十一月十五日の「六曜」は、かならず「先勝(センショウ・センカチ)」。こだわるならお参りは午前中ですね。

衛生面、医療面の整った日本では、多くの子どもが3歳、5歳、7歳を迎えることができます。しかし中には病気や事故でその年齢に達する前に天国に召されるお子さまがいらっしゃることも事実。それぞれの儀礼の年齢を無事に迎えられたことを神様や両親はもちろん、応援してくださった多くの方々に感謝するお詣りにしたいものです。自分の力や知恵の及ばない領域があることを知り、畏敬の念、畏怖の念を持つことを学べるのが、年齢儀礼です。お金ですべては解決できないこと、得られないことをどうぞ、ご両親様からお子さまにお伝えください。そのことを学ぶ機会を逸してしまいますと、どこぞの国の、〝あんぽんたんな政治家〟と同じ人間を育てることになってしまいます。おしゃべりが過ぎました。どうぞご容赦ください。 

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