振袖(想い出キモノ館)

竹内ともこさんの想い出

就職をきっかけに一人暮らしをし出し、初めての帰省になった誕生日目前の22歳のお正月。TVを見ていて妙に着物を着てみたくなって、「着物着たいなあ」と何の気なしにつぶやきました。 千葉に戻ってきてしばらくしたある日、母から電話が。「おばあちゃんがね、ともこが振り袖着たいって言ってたから買ってやりたいって言うのよ。今度おばあちゃんと2人で見てくるんだけど、どんな色がいい?」

高価で着る期間の短い振り袖よりも、長く使える家具が欲しいと言い張り、私は二十歳のお祝いに振り袖は、あえて作ってもらいませんでした。母だって、自分の二十歳の時に振り袖は親に作ってもらわなかったというし、高い買い物をさせず親孝行をしたとまで思っていたのでした。そのせいか、私は「着物」と言ったのにその独り言を聞いていた祖母は、「振り袖」と思いこんだようです。

かくして23歳にして初めて手にした振り袖。私の予想通り、たった一度しか袖を通せなかった私の振り袖。でも、私も2人の娘を持つ身になって、母親が娘に振り袖を着せることが、どんなに楽しみであるかを知りました。祖母だって時代が時代でなかったら、きっと自分の娘たちに振り袖を作ってやりたかっただろうと思うのです。私は決して親孝行をしてはいなかったんだと痛感しました。だからこの振り袖は私の娘たちにも着てもらって、その着姿を見せる日まで祖母と母には長生きして欲しいです。

【近況】
 ただ今、3人目を妊娠中。この夏には、新しい家族がまたやってきます。男の子でも女の子でも構わないから、思いやりのある子になって欲しいと思います。

館長からのメッセージ

ともこさんに、一枚の着物が想い出キモノになるのには、ある程度の醸造期間が必要なことを教えていただきました。23歳で初めて袖を通した振袖。それが10年たって、想い出キモノになったのですね。お嬢様が、この振袖をお召しになるとき、私達の国の文化はどうなっているのでしょう。キモノを取り巻く環境は、どう変化しているのでしょう。守らなければならない、大切なものに気づかされます。

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