振袖(想い出キモノ館)

大場雅代さんの想い出

この振袖は、三年前の私の結婚式に着用した物です。以前から着物、特にアンティークな物が大好きだった私は、祖母や母の着た着物で結婚式を挙げるのが夢でした。ところが祖母が結婚したのは、太平洋戦争が今にも始まろうという頃。当時は華やかな振袖を着て式を挙げるのは難しかったようで、祖母も江戸褄が婚礼衣装だったそうです。その江戸褄も祖母の元にはもうなく、私の手元に集まったものは、祖母の丸帯(切って名古屋帯になっていました)と、祖母の姉が使っていた鶴の刺繍の半衿、母方の祖母が婚礼で使った緋色の総絞りの帯揚と白の丸ぐけの帯〆だけでした。

式が近づき、式場の貸衣装の打ち掛けやドレスを何枚試着してみても、やはりどうしても自分の気持ちがしっくりこないのです。豪華な打ち掛けよりも、自分が自分らしく微笑むことのできる衣装で式を挙げたくて、憧れの「黒・赤・白の重ねの振袖」を探し、東京や京都のアンティーク着物店をまわりました。

残念ながら「三枚重ね」を見つけることはできませんでしたが、京都でようやく私の好みの振袖を見つけることができ、当時習っていた和裁の先生のご協力で、緋色の比翼と白の長襦袢を何とか自分で作り、少々苦しいながらどうにか「黒・赤・白」にすることができました。

名古屋帯になっていた祖母の丸帯のかわりに、和裁の先生のお義母様の丸帯を頂戴し、多くの方々の温かいご協力を得て、本当に心から自分らしく微笑むことができた結婚式でした。

お店の話では対象から昭和初期頃のものか・・・・・ということでしたが、とにかく長い年月を経て縁あって私の手元にこうして来てくれた振袖を、今度は、現在二歳の娘が成人式あるいは結婚式で袖を通してくれたら・・・・・というのが、今のところ私の密かな夢なのです。

館長からのメッセージ

黒と白は、神聖な場所で身につける色。赤は、誕生を意味します。たくさんの色の中でも白、黒、そして赤は、日本人にとって古来から、特別な色でした。大場さんが、「黒・赤・白」のコーディネートにこだわられたのも、日本女性が長い年月の間に積み重ねた「遺伝子の記憶」によるものかもしれませんね。

 

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