私が二十歳の時に亡くなった母の羽織です。きっと若い頃に着たものなのでしょう。形見分けの時、なぜかこの色柄に惹かれて、私の手元に残っています。
明治40年生まれの母は、いかにも明治の女性らしく、父に尽くし、私たち子供にも優しい人でした。甘えんぼで、一人でよその家に泊まることのできなかった私。そんな私の学校の旅行に、着物姿で付き添ってくれた日のこと、今でも思い出します。
そんな母の面影を宿す銘仙の羽織。いつまでも色あせることなく、私に優しく語りかけてくれるのです。
紋付きの羽織は、義理の父が残したものです。建築関係の会社の社長だった義父。気っぷの良い人で、ずいぶんと、もてたそうです。後に残された義母が、父がなかなか迎えに来ないと、やきもちを焼いていたのが、今では笑い話になっています。































