小紋(想い出キモノ館)

紫すみれさんの想い出

母が急逝したのは、私の結婚が決まった年。本来なら喪に服すということで、結婚は延期するのでしょうが、「娘の結婚が延期になったら(母が)悲しむだろう」との父の判断で予定通り結婚し、私は家を出ることになりました。その後、父の元へと嫁いできたのが、現在の母。二人の母から受け継いだ着物は子どもたちの成長を見てきた大切な想い出キモノです。

これは、母の形見となった小紋です。そして、生前母が「親の敵のように締めている」と言っていた帯。姉と私の入学式や卒業式に参列する母の定番だったこの着物を今度は、私が長男の中学校卒業式にと着ていきました。おばあちゃんと母に見守られての、長男の卒業式でした。

そして、継母から受け継いだ、これまた小紋の着物。継母が、自分のお金で買ったはじめての絹物とのことです。これは、生まれたての長男や次男をなれない手つきで一生懸命、世話してくれた継母への感謝の気持とともに、長男・次男の小学校の卒業式に着ていったものです。

館長からのメッセージ

くしくもお二人のお母様を持つことになった紫さん。ご自分を育ててくれた実母と、息子さんを慈しんでくれた継母。そのお二人のお母様への愛情表現として、また恩返しとして、受け継がれたキモノをお召しになっているのですね。残されたキモノに袖を通すとき、そのキモノの元の持ち主のことを自然に思い出します。その方が故人であれば、この上ないご供養になるのではないでしょうか。

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