この夏物の着物は、母の形見の品です。母は、私が5歳のとき、27歳の若さで亡くなりました。インフルエンザにかかり、肺炎を起こしたのです。入院のときに聞いた、「お父さんのいうことを良くきいてね」という一言が母から私への最後の言葉になりました。
当時は、食料を持参で入院する時代。郵便もままならず、誰も見取ることができなかったのが悔やまれます。
三味線を習っていた母は、この着物を着て夏のお稽古にいったのでしょう。母が亡くなった後、着物は千葉県茂原に住む母の妹に譲られていたのですが、最近になって、私の手元に戻ってきました。あれから50年以上たった今、目の覚めるような色と撫子の柄が、母の面影を蘇らせてくれました。





























