留袖・色留袖(想い出キモノ館)

征乃さんの想い出

昭和11年、一人っ子だった母に婿を迎えるとき、祖父が用意した江戸褄です。そのころ佐倉城址には、まだ陸軍法砲兵学校があり、そこで用務員をしていた祖父が、そのお給料で買ってくれたのだそうです。当時、千葉には、「そごう」を始めいくつかの呉服屋さんがあったそうです。その中でも一番安い「扇屋」さんで買ったというのが、慎ましかった我が家を忍ばせる笑い話です。

それでも、田植えの手間賃が一日60銭の時代に、13円だったといいますから、大金ですね。

当時、実家では、農閑期に和裁の先生をお呼びし、近所の娘さんと一緒に、母も手ほどきを受けたそうです。今でも確かな腕前の母から、先日、私の娘のゆかたが縫い上がってきました。昔は先生級の腕前だったというのが、母の自慢話。そして、私の自慢でもあります。

館長からのメッセージ

貴重なキモノの歴史を語る「江戸褄(えどづま)」です。今とは違い、「おひきずり」で着用していた時代の名残のキモノ。上前と下前、そして、それぞれその裏に柄があり、「おひきずり」で着たときに一番、映える柄付けになっています。下前とその裏は、現代の着方では、全く見えない部分、柄の必要のない部分なのです。上前と下前の柄付けの高さが江戸好みだったことから「江戸褄」の名が付きました。お健やかなお母様とともに、大切にしてほしい一枚です。

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