2021年の「立春」は、いつもより一日早い、なんと2月3日! なぜですの?
「立春(りっしゅん)」は、これまでの長年の習慣・経験で2月4日と思い込んでいらっしゃる方が多いと思います。「立春」とは、暦の雑節「二十四節気」の中のひとつ。この日から季節は春となり、暦上の一年の始まりでもある大切な節目です。
では、そもそも「二十四節気」の日にちはどのようにして決められているのでしょうか。「二十四節気」は、古代の中国で始められた、季節を変わり目を示す日。1年を24の節に分け、その節の最初の日に名づけられています。
「太陰太陽暦」だった時代、ひと月の長さ、そして、一年の長さは、月の満ち欠け「朔望周期(さくぼうしゅうき)」で決められていました。「朔(さく)」は、月のない晩、「新月」です。「太陰太陽暦」では、この日が毎月の一日(ついたち・つきたち)となります。「望(ぼう)」は、満月の日です。満ちては欠け、次の「朔」の前日までがひと月。これが「朔望周期」です。朔望の平均の長さは29.530589日(細かくてゴメンナサイ)。ですから、「太陰太陽暦」のひと月は29日か、30日になり、29日の月は「小の月」、30日の月が「大の月」。私たちが今使っているカレンダーよりも約1日、短いのです。その分、早く暦が進み、季節と暦の間にずれが生じます。これでは農家の方が困るので、農業のために暦に加えられたのが、「二十四節気」なのです。
先ほど、「1年を24の節に分ける」と書きましたが、ここで言う1年とは季節が巡る周期である1太陽年(365.2422日・こちらも細かくて…)です。太陽と地球との位置関係で割り出しているため、こちらは季節の移ろいと常に一致しています。つまり、「二十四節気」は、「太陰太陽暦」だった頃、暦と季節とのずれを補う役割を持っていたのです。現在私たちが使っているカレンダーは、太陽暦。ですから、現在のカレンダーと「二十四節気」の間にずれはありません。
二十四節気の日にちと黄経角度 |
四季節気名 | 月節月 | 太陽(黄経) | 太陽暦の日付 |
立春 | 正月節 | 315度 | 2月 4日頃 |
雨水 | 正月中 | 330度 | 2月19日頃 |
啓蟄 | 二月節 | 345度 | 3月 6日頃 |
春分 | 二月中 | 0度 | 3月21日頃 |
清明 | 三月節 | 15度 | 4月 5日頃 |
穀雨 | 三月中 | 30度 | 4月20日頃 |
立夏 | 四月節 | 45度 | 5月 6日頃 |
小満 | 四月中 | 60度 | 5月21日頃 |
芒種 | 五月節 | 75度 | 6月 6日頃 |
夏至 | 五月中 | 90度 | 6月21日頃 |
小暑 | 六月節 | 105度 | 7月 7日頃 |
大暑 | 六月中 | 120度 | 7月23日頃 |
立秋 | 七月節 | 135度 | 8月 8日頃 |
処暑 | 七月中 | 150度 | 8月23日頃 |
白露 | 八月節 | 165度 | 9月 8日頃 |
秋分 | 八月中 | 180度 | 9月23日頃 |
寒露 | 九月節 | 195度 | 10月 8日頃 |
霜降 | 九月中 | 210度 | 10月23日頃 |
立冬 | 十月節 | 225度 | 11月 7日頃 |
小雪 | 十月中 | 240度 | 11月22日頃 |
大雪 | 十一月節 | 255度 | 12月 7日頃 |
冬至 | 十一月中 | 270度 | 12月22日頃 |
小寒 | 十二月節 | 285度 | 1月 5日頃 |
大寒 | 十二月中 | 300度 | 1月20日頃 |
「ずれはありません」と書きましたが、1日2日のずれは生じます。それは、太陽と地球の位置関係が上の表の黄経角度になる瞬間を含む日にちが、それぞれの「二十四節気」の日にちとなるからです。ちなみに、2021年の「立春」、黄経角度315度になる瞬間は、2月3日の23時58分。ぎりぎり2月3日が「立春」ということになりました。大きくは、昨年2020年が「閏年(うるうどし)」だったことに起因しています。閏とは、1太陽年の小数点以下の端数。つまり24時間の一日で割り切れない部分(0.2422日=5時間48分46秒)を補うために差し込まれるプラスの1日。4年に一度、覚えやすいようにオリンピックイヤーが閏年に定められていて、2020年、オリンピックは延期になりましたが、2月29日はルールどおりやってきました。実は、4年に一度にあたる年でも閏日を差し込まない年があります。下をご覧ください。
閏年の決定規則
① 西暦年が4で割り切れる年は閏年で閏日を入れる(閏日は4年に1日)。ほとんどの人は、オリンピックイヤーが閏年と記憶しています。
② ①であっても、西暦年が100で割り切れる年は閏年としない。最近では、1900年がそう。これにより閏日は100年で24日ということに。あれ、2000年は?とお思いの頭脳明晰なあなたは、さらに下をご覧ください。
③ ②であっても、西暦年が400で割り切れる年は閏年とする。これにより閏日は、400年に97日となります。
20年前、「2000年問題」におびえたシステムエンジニアの方やライフライン関係にお勤めの方がたくさんいらっしゃいました。生活のありとあらゆる部分に入り込んでいる電気機器。それを制御しているマイコンのカレンダーが閏日をどのようにプログラムしてあるか、③の条件が織り込まれているのかが、見当もつかなかったからでです。2000年の2月29日は何があるか怖いので家にいた・・・という方も。
この「閏日」の関係で「二十四節気」は1日から2日の幅で移動します。「立春」も例外ではなく、今年のように2月3日になったり、2月5日になることも。久しぶりにやってくる「2月3日立春」をネタにまことしやかに語られる流言飛語にどうぞ、ご注意を! 2021年の2月3日は、どうぞ穏やかにお過ごしください!!
「立春」の前日が「節分」。鬼を追い、福を招く日。コロナ禍がまだまだ世界中を覆っている2021年。マスクの着用、手指の消毒やうがいがコロナから身を守るため、現在とり得る最大の防御策。豆を撒いたことで安心するのは禁物ですぞ。