1. HOME
  2. ブログ
  3. 江戸小紋

江戸小紋

隅田川上流、荒川沿いに広がる住宅地、東京都板橋区高島平に小林染芸はあります。江戸小紋師、小林義一先生のお父さま、茂徳先生が昭和52年に練馬から移転し開かれた工房です。初代の主は今はもうなく、ご子息の義一先生と福司先生が工房を守っています。

工房では、ちょうど江戸小紋の型紙を用いた訪問着を制作中でした。丁寧に墨うちされ張り板に張られた白生地に防染のためのカッティングシート(伏せ型)を置いていきます。

白生地に描かれた青花の線をたよりにカッターで裁断。下の白生地に傷を付けずにシートだけを裁断していきます。

伏せ型を置き終えると、今度は所定の場所に防染糊を型付けしていきます。ここで登場するのが伊勢型紙と餅粉と米ぬかで作られた防染糊です。

型付けされた防染糊。カッティングシートによって作られた松並木のシルエットが、松の江戸小紋柄で埋め尽くされています。ここで黒くなっているところが防染され、最終的に白く染め抜かれることになります。

防染糊の型付けが終わると今度は、色糊による彩色です。糊と染料を配合して色糊を作ります。工房には過去のデータブックが残されていて、目指す色を出すために染料と糊の配合をこのデータから割り出し、求めていきます。先代のときには勘に頼っていた作業。データを残すことによって8割のところまでは、格段に早くなったそうです。あとの2割は微調整。テストピースへの染着と蒸しを経て発色を確かめます。

本来江戸小紋は、武士の裃(かみしも)、ユニフォームを染めるために生まれ発達した技法です。つまり同じものを効率的に染めるための方法のなです。この江戸小紋の技法を、本来友禅の技法で染められる訪問着づくりに応用した小林染芸の江戸小紋の訪問着。

柄の位置やシルエットを決めるカッティングシート(伏せ型)を置くのは、一枚一枚の手作業。まったく同じものを制作するのは不可能です。このように一点もの感覚のものが江戸小紋の板場で生まれているのは、新鮮な驚きでした。

「伝統工芸展が私を育ててくれた」と義一先生はおっしゃっています。何回も何回も落選し、その都度、先輩の職人から貴重なヒントを与えられたと。静かでいて力強さがあること。絵ぎわが大切であること。糊に工夫を凝らすこと。これらの助言により、平成5年、日本伝統工芸展本展に初入選。
以来、入選を重ね、平成13年、最年少で(社)日本工芸会の正会員に選ばれました。

江戸小紋の伝統を受け継ぐことと自分自身の個性を発揮する創作の両方を追い求める小林義一先生。江戸小紋は体育会系とおっしゃる先生の言葉が妙に納得できました。

江戸小紋の制作に欠かせない伊勢型紙についてはこちらをご覧ください。