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【暦の雑節】亥の子(いのこ)と十日夜(とおかんや)

亥の子餅

10月最初の亥の日が、暦の雑節「亥の子(いのこ)」です。収穫祭的要素が強く、主に西日本で行われています。
お餅をついてお供えし、田の神様と同様に亥の子神を山にお返しする行事です

本来は、旧暦の十月最初の亥の日に行われていた行事で、お茶人の間では、この日を「炉開(ろびらき)」として夏の間の風炉(ふろ)を撤し、炉を開きます。農家などでも囲炉裏を開き火を入れることを、「炉開」と呼びます。

旧暦の「亥の子」は、2015年(H27)のカレンダーでは11月19日にあたります。まさに、外に出歩くのにコートが手放せなくなり、暖房がなかった時代には囲炉裏に火を入れたくなったことでしょう。「炉開(ろびらき)」という言葉の響きには、やはり旧暦の「亥の子」の日がピッタリですね。

西日本の「亥の子」に対して東日本でポピュラーなのが、旧暦十月十日の「十日夜(とおかんや)」です。今年のカレンダーでも旧亥の子とほぼ同じ頃にあたる11月21日。

「十日夜」は、四月十日に山から下りていらた田の神様がこの日、山に帰るのを感謝する行事です。秋の名月「十五夜」と「十三夜」に並び、冬の月待ちをおこなう晩としても知られています。
やはり収穫祭的な意味合いが強く、案山子揚(かかしあげ)といい、収穫を終えた田から案山子を引き揚げ庭先に飾る風習があります。

「亥の子」も「十日夜」も、これから来る厳しい冬を前にささやかな楽しみを味わう、昔人の慎ましい生き方を感じさせる暦の雑節です。