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東京本染ゆかた「注染/型付け編」

近くに荒川が流れるこの地域には、かつて何軒も染工所があったそうです。東京都内でもゆかたや手拭いを染める染工所は、現在4、5軒ほどになってしまっているそう。「東京本染めゆかた」のブランドも風前のともしび。

今日お訪ねしたのは、そのうちの一軒。今も、昔ながらの「注染(ちゅうせん)」の技法で、高級ゆかたを染めています。その注染の様子をレポートします。

水洗いされた綿反が、初夏の風にそよいでいます。天日干しで乾かしたあとはシワの伸ばし、染色に備えます。床には染色を待つ、白生地が山と積まれていて、さすがは6月初めのゆかた最盛期。それもそのはず、現在では東京の綿布問屋のほとんどが、ここ伊勢保染工所で染めているのです。

工場の中はこんな様子。優雅なゆかたがここから生まれるとはにわかには信じがたい光景です。綿反はまず、「型付け」に回り、そのあと、「注染」の作業に進みます。

工場には、ベテランに混じって美術系大学を卒業した若い女性の職人さんの姿も。すでに入社3年目を迎えていて、動きにも無駄がありません。約1mの長さの型を使い、反物を折り返しながら作業を進める「注染ゆかた」の「型付け」。下の画像で順を追ってご説明します。

型付け台に反物を広げます。

型付け台に取り付けられている型に手をかけ、同時に右手はヘラで糊をすくい取っています。 

型を反物の上に倒し、右手のヘラで防染糊を置きます。ヘラは左右に何回か往復させていました。ゆかたでは、一ヶ所でも型のついていない場所があれば一反が不上がり品になってしまうため、気の抜けない作業です。右手で、大きなヘラで重い糊をすくい取る作業の連続ですが、まったく手が汚れていません。手に糊が着くと、それが反物に着くことになっり、これも不上がりの原因になります。見事な手さばきでした。

型をあげて、反物を折り返します。そして型を置いて、ヘラで糊を・・・。この連続で「型付け」をおこないます。1反の反物は12mあり、1反でこの作業を12回繰り返すことになります。ここ伊勢保染工所では、2反分を同時に型付けしていました。

「型付け」が終わると反物に「おがくず」をまぶします。糊が他の反物に移るのを防ぐためです。すでに染めを待つ反物がそこここに積まれています。

ここまでが「型付け」の作業になります。続いての染めは、「東京本染めゆかた 染色編」をご覧ください。