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安西淑恵さんの想い出

81歳になる母が娘時代に着ていた着物で、何回かの染め変えの後に、この柄になり私に譲られました。私が19歳の時です。
当時、親元を離れバスガイドをしていた私。お正月に実家に戻り、この着物に袖を通したことを覚えています。

この柄は、当時人気の映画「悪名」で水谷良重さんが着ていた着物と、同じ柄なのです。私も女優のようにポーズを決めて写真に収まっています。
今はすっかりシミだらけになってしまいましたが、いつかまた、新しく同じ柄に染めてあの日のように羽織ってみたいものと思っています。

館長からのメッセージ

映画「悪名」は、大映の人気シリーズ。1961年から1974年まで、なんと16本も撮られました。勝新太郎の「座頭市」と並ぶ当たり役で、彼が演じる寡黙な一匹狼の朝吉と、田宮二郎演じる清次が、毎回いろんなところでもめ事に巻き込まれては、解決して去っていくという、お決まりのストーリー。けれど、最後にはしっかり泣かせるという、心地よい映画でした。

毎回、豪華な共演人やゲストが迎えられ、今は新派の大看板を背負って立つ水谷八重子さんも3作ほどに登場しています。もちろん当時は、八重子襲名前のこと。安西さんが、映画の中のキモノと同柄の一枚に、大喜びで袖を通されたであろうこと、目に浮かぶようです。